« 2011年10月 | メイン | 2011年12月 »

2011年11月

2011年11月26日 (土)

JMRA アニュアルカンファレンス


111122_1230~001111122_1230~002日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)のアニュアルカンファレンスが11/22(火)に開催されました。

毎年1度のマーケティングリサーチ関係者が集まる大規模なイベントで、最新のリサーチ動向を反映した研究発表や、なかなかお会いできない関係者にお会いできる機会として、私も毎年楽しみにしているイベントです。

今年のテーマは「Renovation ~次世代リサーチの創造~」というものでした。

震災を乗り越えて新たに生まれ変わる復興を目指そう!ということと、新たなリサーチ手法を創り出そうというメッセージの込められたテーマで、例年とはちょっと違った雰囲気も感じられました。

日本コカ・コーラの魚谷会長の「マーケティングは経営そのもの」という基調講演はとても参考になりましたし、その後の5社の研究発表も、パネルディスカッションも大変刺激的でした。

今年の研究発表のキーワードは、①ソーシャルメディアの活用、②スマートフォンの活用、③リサーチのPDCAへの組込みのように感じました。それぞれ新しいリサーチスキームを作るために必要な要素であるのは間違いありません。

各社ともまだ実験的な試みをしている感じでしたが、この1年でも環境が大きく変化していることを実感することができました。そして、当社も「ソーシャルメディア」と「スマホ環境への対応」は研究していますが、スピード感を持って進めないといけないと思いました。

ところで、このイベントでちょっと嬉しく思えることがありましたのでご紹介します。

今回は5社が研究発表を行いましたが、この中で1番参加者からの評価が高く、懇親会で田下会長から表彰を受けたのが、サーベイリサーチセンターさんの『傾聴から見えてきたこと 「東日本大震災アンケート」』という発表でした。

「傾聴」=「リスニング」で、「ソーシャルメディアリサーチ」の研究発表だとばかり思っていましたが、こちらで取り上げた「傾聴」は訪問面接で「しっかり聴くこと」でした。

同社は災害の1ヶ月後に被災地に入り、避難所におられる被災者から451人に訪問面接で調査をしたのだそうです。ここでの調査の経験から、しっかり時間をかけて聴くことの大切さを訴えた研究発表でした。

他の発表は、スマホや、twitter等の新しい仕組みを使った調査の報告でしたが、リサーチ関係者の心を1番掴んだのが「訪問面接でしっかり聴くことの大切さ」というのが、とても心地よい結果で、リサーチ業界もまだまだ捨てたものではないと感じました。

こちらのカンファレンスはリサーチの時流を掴むのに不可欠のイベントです。今年の内容はFaceBookでも紹介されていますので興味のある方はご覧下さい。

〇JMRAアニュアルカンファレンス(2011.11.22)

http://www.facebook.com/jmra.conference

2011年11月14日 (月)

IBM Business Analytics Forum

111110_1749~001IBM(SPSS)さんの「Business Analytics Forum Japan 2011」が、11月9日と10日の2日間で開催されました。

これまでは「SPSS Directions」という名前でしたが、2009年にSPSS社がIBMに買収されたため、昨年度から今の名称に変わって開催されています。

こちらのイベントは、大学のマーケティングや消費者行動の先生方や、色々な企業のマーケティングの専門家が、様々な分析の事例を紹介していただけるので、とても勉強になります。

そして、以前は5千円位の参加費がありましたが、IBMになってからそれも無料になりました。

当社も集計ツールにはSPSSを使っているので、今年も10人以上のリサーチャーが出席しましたが、これだけの発表をただでお聞かせいただけるのはありがたいことです。

マーケティングデータを扱う人にとっては、参加必須のイベントだと思います。

今年は慶應義塾大学の清水聡教授が、「IT進歩が支える新しい産学協同の取組み ~きき耳パネルはこうして作られた~ 」というテーマで発表されて、当社と読売広告社が研究開発をサポートしてきた事例も紹介していただけました。

こういうイベントを毎年開いていただけるのは、本当にありがたいことですね。

〇IBM Business Analytics Forum Japan 2011

http://www-06.ibm.com/software/jp/analytics/events/baforum2011/index.html

2011年11月13日 (日)

インターネット調査会社の起業目的

私は15年ほどシンクタンクで従来型のリサーチに係わってきて、新しいリサーチサービスを作りたいという思いでマイボイスコムを設立しました。

しかし、同じネットリサーチ会社の創業者でも、色々な目的や思いで起業される方がいるのだなあ強く感じることがありました。

もう5年も前になりますが、あるネットリサーチ会社の社長と飲みに行く機会がありました。彼と飲みに行くのは初めてで、先方から情報交換をしようというお誘いを受けて伺ったものです。

その時にお互いの会社の状況や、ネットリサーチ業界や市場の動向などについて、をざっくばらんに意見交換をしましたが、何となく話のベクトルが違うのを感じました。

私はネットリサーチをどうすればもっと良いサービスにできるのか、どうやればスタッフの技術力が向上し、どうやればモニターの裾野が広がり回収率が高められるのか等に興味があり、その様な意見交換を求めていました。

しかし、彼から「私はリサーチをやったことにありませんし、リサーチそのものには興味がありません。私の興味はどうやって事業を大きくし、会社を大きくするかです。その目的でネットリサーチの分野を選んだのであって、ラーメンチェーンの方が事業の可能性が大きければ、ラーメンチェーンでも良いんです。」と聞いて大変驚いたのを覚えています。

そして、その会社は彼の狙い通り大きく成長して行きました。

起業の動機や目的は人それぞれです。そして、その考え方によってそれぞれの会社が何を大切にして、どの様なサービス提供や会社運営をするのかが決るのでしょう。

従来型のリサーチ会社であれば、そこの社長や経営者はリサーチの経験者であり、リサーチの職人的なところを持っていたと思います。

でも、現在のネットリサーチ会社にはその様な共通の経験値はありません。色々な価値観や基準で運営されている世界であることは間違いないと思います。

 

〇マイボイスコム http://www.myvoice.co.jp/

 

2011年11月12日 (土)

インターネット調査会社の収益

ネットリサーチには、「インターネットビジネス」と「リサーチビジネス」の2つの顔があると申し上げましたが、収益を出すには「インターネットビジネス型」が圧倒的に有利です。

リサーチの経費は固定費である人件費の割合が大きく、リサーチ会社は人手間をかければかけるほど収益が下がる収益構造となっています。

ネットリサーチによって実査の効率は大幅に向上しましたが、調査設計や調査票作成、分析や考察、提案は「人」にしかできません。それも色々と経験を積んだ専門性のあるスタッフでないと、お客様に喜んでいただくことはできません。

この専門性の高いスタッフを育成することと、お客様にご満足頂くリサーチをするために十分な作業時間をかけることがコストを引き上げてしまいます。そして、現在のネットリサーチの市場価格では、なかなか十分な作業時間がかけられないのが頭の痛いところです。

ネットリサーチによって、マーケティングリサーチの価格は大幅に低減しました。しかし、それによって、今までの様な作業時間がかけられないところに、お客様のリサーチ会社に対する満足度低下の原因があるようにも感じています。

ネットリサーチ会社で高い利益を確保するには、専門スタッフに頼らない、パネルサプライや、データ回収と自動集計ツールの提供といったビジネスモデルにするべきなのでしょう。

でも、ネットリサーチは色々なお客様が必要としています。すべてのお客様がご自身で調査設計ができ、正しい調査票が作れて、集計や分析やレポート作成に対応することはできないと思います。

リサーチの経験もなく作業を行う時間もないので、専門の会社に任せたいというお客様の課題解決に向けて、頭からお尻まで、専門性と責任感を持って、親切丁寧に対応できるネットリサーチ会社も必要ではないでしょうか。

当社はそんな「リサーチビジネス型のネットリサーチ会社」になりたいと考えています。

 

2011年11月 5日 (土)

インターネット調査会社の機能

ネットリサーチが出てくる前までは、リサーチ市場は各社が得意な専門領域(業界や調査手法)を持って棲み分けをしている、どちらかというと競争の少ない市場でした。

また、それぞれの得意領域で人的な専門サービスを提供する業態であるため、比較的小さな専門会社が多い業界でもありました。

日本マーケティング・リサーチ協会の「第36回経営業務実態調査」を見ると、現時点でも会員であるリサーチ会社の平均従業員数は49人で、調査業務従事者は37人となっています。

特定の分野や手法に絞ると、この位の業務量しか確保できなかったこともあるでしょうが、これ以上の規模になると、人的サービスの「質」が保ち難かったこともあったのだと思います。

しかし、2010年のマクロミルさんのヤフーバリューインサイト社の吸収によって、従業員が500人を超える巨大なネットリサーチ会社が出来ました。

また、この合併でマクロミルさんの筆頭株主がヤフーさんになったので、システムやパネルのリサーチインフラを提供する「インターネットビジネス」の性格が強くなるのではないでしょうか。

ネットリサーチは「インターネットビジネス」と「リサーチビジネス」の両方の機能を持ったサービスです。このどちらも求められているのがネットリサーチ業界であり、各社がどちらに軸足を置いてサービスを展開するかで会社の特色は大きく異なります。

当社は設立当初から「専門性の高いサービス」と、「クオリティの高いデータ」でお役に立つリサーチ会社を目指して来ましたので、これからもその方向で頑張って行くつもりです。

また、お客様の中には「インターネットビジネス」のリサーチインフラではなく、「リサーチビジネス」の専門サービスを求めている方が意外に沢山おられるようにも感じています。

 

〇マイボイスコムの経営理念

「生活者と企業のコミュニケーションメディア」として、クオリティの高い生活者情報と、 専門性の高いサービスで、企業のマーケティングを支援し、豊かな消費生活に貢献する。

http://www.myvoice.co.jp/profile/philosophy.html

〇第36回経営業務実態調査(2011.6)」

http://www.jmra-net.or.jp/trend/investigation/pdf/realities_36/gyoumujitai2011.pdf

プロフィール

フォトアルバム

Takai kazuhisa

伊藤忠系シンクタンクの社内ベンチャーで、1999年にネットリサーチ会社のマイボイスコムを立ち上げて社長をやっています。会社を作ることより続けること、良い会社を目指して経営することの難しさ日々感じながら奮闘している毎日です。夜は神田や神保町あたりの居酒屋に出没し、休日は自然散策やアウトドアを楽しんでいます!