« 暮らしと節約に関する調査 | メイン | 意思決定に役立つリサーチ »

2020年4月18日 (土)

インターネット調査の変遷

22年前の黎明期からインターネット調査に携わってきましたが、振り返ってみると良い面と悪い面があったように感じています。

良い面はやはり手軽に早く安く大量の生活者情報が取れるようになり、動画や音声などの活用や、インタラクティブ性を活かした色々な調査が可能になったことがあります。

悪くなった面はリサーチの価格や納期が1/4~1/5まで急激に下がり、機械化や効率化を優先せざるを得ない環境の中でリサーチの技術力やノウハウが低下して、設計等の準備が不十分なリサーチが増えてしまったようにも思えることです。

もっと時間をかけてクライアントと相談し、時間もかけて良く考えて役に立つ調査結果を提供しようとしても、今のネットリサーチの市場価格と納期ではそれができません。

そして、インターネット調査の自社環境を持たないで、人的な専門サービスを提供してきたリサーチ会社が沢山なくなったのは不幸なことだった様に思います。

当社は1998年に伊藤忠系シンクタンクの社内ベンチャーとして創業して、インターネット調査の事業を始めました。

そこから7、8年は数社のベンチャー会社が取組んでいたのですが、当社の様にリサーチ経験からこの市場に入った会社では、リサーチとは何かとか、リサーチにとって大切なこととは、という価値観というか拘りがあって、そこを大きく変えられないところがありました。

しかし、リサーチに携わったことのない企業や創業者が、どうすれば事業を大きくできるかを考えた時に、システム化と自動化による早さと安さの訴求になり、その安い価格と短納期が業界の標準になってしまったように思います。

それでお客様の意思決定に役立つ良質なリサーチが提供できて、働く社員も自信と誇りを持って働ける環境が作れれば良いのですが、今のリサーチ業界は多くの歪みを抱えてしまっているようです。

毎日7、8件もの調査の依頼を行う多頻度回答や、数時間で回収を行う短時間回収、予備調査は2~3ポイント(円)、本調査でも30問に答えても30円という極端に低い謝礼で、リサーチャーも調査票の設計に必要な時間が取れない状態では、良いデータの回収もパネルの維持もできません。

この歪みは市場環境から来るので何とも歯がゆいですが、当社は自社で出来る範囲で高品質で専門的なリサーチサービスの提供に務めて行きたいと考えています。

そのために、独自の「テキストマイニング(TextVoice)」や「アンケートデータベース(MyEL)」を構築して固定収益を作ることで、リサーチワークに少しでも余裕を作り、リサーチャーの育成にもできるだけ注力することでやっていくつもりです。

小さくてもそんなリサーチ会社を求めているお客様もおられると思うので、厳しい環境ですが藻掻きながらも品質向上に向かって頑張って参ります。

マイボイスコム株式会社 

https://www.myvoice.co.jp/

コメント

コメントを投稿

プロフィール

フォトアルバム

Takai kazuhisa

伊藤忠系シンクタンクの社内ベンチャーで、1999年にネットリサーチ会社のマイボイスコムを立ち上げて社長をやっています。会社を作ることより続けること、良い会社を目指して経営することの難しさ日々感じながら奮闘している毎日です。夜は神田や神保町あたりの居酒屋に出没し、休日は自然散策やアウトドアを楽しんでいます!