生成AIの影響
② 生成AI・(顧客内)内製化への対応
2023年11月以降にChatGPT旋風が吹き荒れ、今日に至る生成AIや、AIを活用した調査ツールの飛躍的進歩には目を見はるばかりです。ESOMARがコロナ禍以降に実施した3回のクライアント調査結果から、2023年4月時点でのクライアント社内の調査プロジェクト内製化率はグローバルで48%となっており、進捗が遅れていると見られていた日本でも44%に達していました。その後、比較的簡単なデスクリサーチやデータの収集・整理などは、生成AI活用を含む内製化に取って代わられている可能性が高いと思われます。
調査会社としては、生成AIでは不可能な価値の提供や、クライアント以上に生成AIを使いこなす仕組みや分析機能の提供などを通じて対抗していく必要があると思われます。また、クライアント社内で一定の内製化が進んだ後に、それをより効率的に運用しつつ、連続的なインサイト発掘に貢献する道などもあるかも知れません。そのような場合にも、生成AI対応は必須となるはずです。
(出所)一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)「第47回経営業務実態調査」
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JMRAの「第47回経営業務実態調査」によると、2023年度のアドホック調査は前期比99.9%で、そのうちインターネット調査は98.8%と前年割れの状態です。
この減少傾向は2024年度でより強まっているように感じています。
原因は明らかではありませんが、JMRAが上記の提言を出している通り、生成AIの出現でクライアントのリサーチ内製化が進んでいるのが原因なのかもしれません。
これは7、8年前から言われてきたことですが、もうサーベイ型リサーチだけでリサーチ会社の経営は成り立ち難くなりました。
上記の提言では「生成AIでは不可能な価値の提供や、クライアント以上に生成AIを使いこなす仕組みや分析機能の提供などを通じて対抗していく必要がある。」と述べていますが、私もその通りだと思います。
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生成AIで調査票の叩き台や、集計データ、調査レポートのドラフトまで自動で作れる時代が数年後にはやって来る。
それはリサーチ会社の従来の業務が削られて、売上が減少することに繋がります。
一方では生成AIで出来る作業は生成AIに任せることで、業務の効率化を図り、リサーチャーはクライアントの課題に対してどんな調査設計が良いかや、調査結果から何が言えて、どんな施策が考えられるかの考察・提案に時間が割ける環境になるかもしれません。
インターネット調査の出現が早さと安さの過当競争の市場になり、多くのリサーチ会社では専門性を持って考える仕事から、オペレーションの効率を優先する仕事に変わりました。
大手のインターネット調査会社が、装置化し細かい分業をしないと実現できない納期と料金を定着させたため、各社ともその水準に合わせざるを得なかったのが実態です。
生成AIの出現は、リサーチ会社の役割や機能を見直すのに良い機会なのかもしれません。
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