2011年5月15日 (日)

はじめまして

はじめまして、マイボイスコム社長の高井と申します。

当社は伊藤忠系シンクタンクのCRC総合研究所(現:伊藤忠テクノソリューションズ(CTC))の社内ベンチャー制度で設立し、1998年からインターネット調査に取組んでいます。

私がインターネットをリサーチに使えないかと考えた1997年は、まだネットリサーチやインターネット調査という言葉もなくて、マーケティングリサーチ(MR)の主な調査手法は、郵送調査や、訪問調査、電話調査、会場テスト、グループインタビュー、デプスインタビューなどでした。

インターネット人口はまだ5百万人ほどで、よく「インターネットは20代男性のオタクのツール」などと言われていました。

そのため、インターネット調査は「garbage in garbage out 」で、ゴミの様な情報を分析してもゴミの様な調査結果しかでないと言われ、それは邪道な調査方法で、そこに携わる人はろくな奴じゃないという感じで見られていたものです。

それが、社団法人日本マーケティング・リサーチ協会の調査結果によると、2009年度のアドホック調査市場で、インターネット調査の構成は36%になり、訪問調査の12%、会場テスト11%、郵送調査11%を大きく上回るまで成長しています。

そして、マーケティングリサーチだけでなく、官公庁の社会調査、大学や研究機関の学術調査等でも、かなりインターネット調査が使われるようになりました。

インターネット調査は市民権を得て、「生活者の意見を企業や社会に伝える」という重要な役割を担う存在になり、黎明期からネットリサーチに携わり、自分なりにこの世界に人生をかけてきた者として大変嬉しく思っています。

しかし、その一方で、市場が大きくなり、色々な企業がネットリサーチに係わるようになって、大きな問題や歪みも生じていて、「これで本当に良いのだろうか?」と疑問を感じることも増えています。

インターネット調査を利用しているクライアント様、モニターとして参加している方、調査結果をメディアでご覧になっている方など、沢山の方々が係わるようになりました。

それであれば、インターネット調査の生い立ちや、市場や業界の現状、ネットリサーチ会社の日常や調査結果を紹介するサイトがあっても面白いのではないかと思い、このブログを始めることにしました。

つたない文章で思い付きの話題提供になると思いますが、ほんの少しでも皆様の参考になれば幸いです。

それでは、よろしくお願いします。

〇マイボイスコムのホームページ

http://www.myvoice.co.jp/

 

2011年5月19日 (木)

インターネット調査の成長と課題

当社が取組みを始めた1998年頃が、インターネット調査の始まりだったと思います。

その頃は営業に行くと、お客様から「インターネットで調査をして大丈夫なの?」と必ず聞かれましたし、慎重なお客様はこれまでの郵送調査等と並行して実施して、調査結果の差異を検証したりしていました。

日本マーケティング・リサーチ協会の「第35回経営業務実態調査調査」(2010年7月)※」では、2009年度のマーケティングリサーチ(MR)の市場規模を1,672億円と推定しています。そのうちネットリサーチは394億円で、MRの24%、アドホック調査(1,041億円)の38%を占めています。

この数字で見る限り、インターネット調査はMRの調査手法として十分に市民権を得たといえるでしょう。そして、もう「インターネットで調査をして大丈夫なの?」とは聞かれなくなりました。

しかし、この3、4年前から、お客様のインターネット調査に対する不信や不満の声がすごく増えています。

「今回は予算がなかったので1番安い見積をくれたネットリサーチ会社に頼んだら、どう分析してもおかしな結果しかでなくて、結局そのデータは捨てることになった。」

「調査結果がどうも変なのでローデータを見たら論理矛盾のデーターが2割以上もあった。データクリーニング前のデータを間違って納品したのだろうと思って、頼んだネットリサーチ会社に連絡したら、データクリーニングは10万円のオプションだと言われて呆れてしまった。もう彼らには絶対に頼まない。」

「あるリサーチ会社に頼んだデータでレポートを作ってクライアントに納品したら、おかしなデータが2割以上も入っていて大クレームになってしまった。データ品質管理のマニュアルを作りたいので協力して欲しい。」

「マイボイスコムさんは、今回、誠実な仕事をしてくれました。客からようやったと言われれば本物です。ところで、XXという会社は駄目ですね。ある役所の調査で使っていますが、サンプルの質が悪くて、今、猛烈に激怒しています。」

これらはこの1年以内に、私がお客様から直接聞いたり、メールをもらったりした実際の話しです。

特に大学の先生方はデータを詳しく分析するため、データがおかしいことに気付くことも多いのでしょう。先生方からデータの取り直しを依頼されたケースもかなりあります。

インターネット調査市場が成長期から成熟期に入る過程で、何か大きな歪みが生じているように思えてなりません。

 

〇第35回経営業務実態調査 (調査手法別の市場規模等)

http://www.jmra-net.or.jp/trend/investigation/pdf/realities_35/gyoumujitai2010.pdf

2011年5月20日 (金)

ショッキングな調査結果「マーケティングリサーチの現状」

そんな酷い話をたびたび聞くようになり、何かネットリサーチの市場が変な方向に動いてしまったのではないか・・・、と嫌な胸騒ぎを感じるようになりました。

そして、この4月に(社)日本マーケティング協会が実施した「マーケティングリサーチの現状」という調査結果の発表会に行って、大きなショックを受けました。

この調査は同協会が1985年から隔年でMRのユーザー企業を対象に実施しているもので、今回で14回目というとても歴史のある調査です。

この調査の「MRが貴社の経営の意思決定に貢献していますか?」という質問に対して、「十分貢献している」というトップボックスの回答が9%で、始めて1桁になったというのです。

同じ調査項目の2006年の結果は19%で、2年前の2008年でも17%はありました。それが、たった4年間で19%→9%へと10ポイントも急低下したことになります。

思わず調査を担当した調査研究委員会の方々と、パネラーであったMRユーザー企業の皆様に「何故、意思決定への貢献度がこんなに急落してしまったのだと思いますか?」と質問をさせて頂きました。

それに対して皆さん深刻な顔で・・・、

「早く安く調査ができる環境になり、基本が守られていない調査が増えてしまった。」

「最近の不況でMR予算が大幅にカットされたため、安さ偏重になっていたことも影響していると思う。」

「ここ数年はいい加減に実施した調査の数字だけが一人歩きしていて大変困っている。」

とお答えいただきました。

これって、とてもとても大変なことではないでしょうか?

そして、インターネット調査会社の早さと安さを優先した取り組みが、影響しているように思えてなりません。

インターネット調査は急拡大をしましたが、ここでちょっと立ち止って、今のサービスは本当にお客様に役に立っているのか、本当に社会に役立っているのか、しっかり考えるべきところに来ていると強く感じています。

2011年5月30日 (月)

顧客満足度の低下

マーケティングリサーチ(MR)は、マーケティングの意思決定を行うために実施するので、意思決定に「十分寄与している」という意見が9%というのはあまりに低すぎます。

「ある程度寄与している」が71%あり、そこまで合わせた80%が寄与率と見れば低くもありませんが、トップボックスが4年間で19%から9%に下がってしまったのですから、何か大きな問題が起きていると考えるべきでしょう。

こちらの調査では、定量調査と定性調査に分けてユーザーの「満足度」も聞いていました。

定量調査の満足度は49%(「満足している」5%、「やや満足」44%)で、定性調査の満足度は60%(「満足している」16%、「やや満足」44%)という結果です。

当社は色々なお客様のCS調査もやっていますが、49%の満足度は決して高いといえませんし、定性調査より定量調査が11ポイントも満足度が低いのは、ネットリサーチの影響もあると考えるべきでしょう。

そして、MRの現場ではインターネット調査の問題が頻発していますので、意思決定の寄与度の低下や、低い満足度は、今の市場をよく反映した結果だと思います。

インターネット調査は生活者の意見を収集、分析するのにとても便利で有効な手段です。

しかし、安易な調査設計や、パネル管理、回収方法、データクリーニングを続けて行くと、インターネット調査なんてやっても仕方がないと、その調査手法自体が否定されてしまうことを危惧しています。

そして、インターネット調査はMRの主要な調査手法になっていますので、インターネット調査の否定はMRの否定になり、日本のマーケティングの仕組みまでおかしくなってしまうかもしれません。

マーケティングリサーチに係わるすべての人が危機感を持って、インターネット調査のクオリティ改善に向けた取り組みを始めるべきではないでしょうか。

2011年6月 1日 (水)

お客様のベクトルの変化

以前の様に数百万円の費用と2、3ヵ月の時間がかかれば、お客様も慎重になり、リサーチ会社とも十分な調整を行ってから実査を行っていました。

しかし、今のインターネット調査の早さと安さだと、「取り合えず、早くやってみようという調査」が増えてしまうのかもしれません。

そして、お客様の方で「取り合えず早くやってみた調査」に対して、「何となく意思決定には使えない結果だなあ」、「何となく満足できないサービスだなあ」、と感じてきているようです。

この3年ほどはリーマンショック後の不況で、MR予算が大幅にカットされた企業が沢山ありました。調査予算は減っても調べたいテーマはなかなか減らせませんので、リサーチ会社の選定で「まずはコスト削減」になったのは当然の流れだったと思います。

「マーケティングリサーチの現状調査」ではリサーチ会社選定の重視項目も聞いています。

2008年度の調査では、「コストの低減」が06年36%→08年55%(19%↑)と大幅に上がってトップになり、それまで1位だったリサーチャーの優秀さ」が06年46%→08年36%(12%↓)、「調査結果の分析力」が06年40%→08年28%(12%↓)、と質より価格に大きく振れました。

それが、今回の2010年の調査では、「コストの低減」、「リサーチャーの優秀さ」、「調査結果の分析力」の3項目が62~67%でほぼ横並びになりました。

2010年から設問形式が変わったため、2008年の調査結果と単純に比較はできませんが、2008年は「コストの低減」が「リサーチャーの優秀さ」の1.53倍もありましたので、「コスト重視」から「クオリティ重視」にクライアント様のベクトルが戻ってきたと推察できます。

この様なお客様のニーズの変化に、インターネット調査会社がどう応えていくか、そのことがMRとインターネット調査の今後に大きく影響してくるでしょう。

お客様のベクトルがクオリティ重視に動いて来た今こそが、インターネット調査業界としてクオリティ改善に動くチャンスのようにも感じています。

2011年6月 6日 (月)

インターネット調査会社の競争と品質

リサーチ会社はサービス業ですので、お客様により高い利便性を提供することは重要なことです。

これまでは、比較的効率的な郵送調査でも、調査設計からレポート作成までに2ヶ月はかかりましたし、400万円とか500万円の大きな費用も必要でした。

調査票等の印刷をする、発送ラベルを作る、郵送での発送をする、回収を持つ、回収票の確認を行う、パンチ入力をすると、どうしてもそれだけの日数と費用がかかります。

一方、インターネット調査は調査設計からレポート作成まで約2週間でできますし、費用も郵送調査の1/4~1/5でできますので、大きな利便性が提供できていると思います。

しかし、その早さと安さの行き過ぎた競争が、リサーチ会社として当然担保すべき、データのクオリティも保ちにくい市場環境を作ってしまったと感じています。

何故、早くできるのか?

それは、印刷がいらない、回収期間が短い、パンチがいらない、という要因があります。

一方、競合先よりも1日早い、半日早い、というレベルまでスピード競争が進んだために、リサーチャーがお客様の課題を共有できない、調査票をしっかり作る時間がない、数時間でデータを回収してしまう、データクリーニングをしない、というのは問題です。

何故、安くできるのか?

それは、印刷費がいらない、郵送費や調査員の経費がいらない、回答負担が少ないので謝礼が減らせる、謝礼送付の経費がかからない、パンチ代がいらない、という要因があります。

一方、お客様と打合せもしない、調査設計や調査票作成に時間をかけない、回答者への謝礼を極端に減らす、データクリーニングを省略して納品する、というのは大きな問題です。

安さや早さも大きな価値ですが、そのために必要なクオリティが担保できないと、本末転倒になってしまいます。

当社は「サービスとデータのクオリティ重視」を経営理念に入れてしっかり対応しようとしていますが、データの品質は目に見えないため、その違いがお客様にうまく伝えられない、証明できないのが難しいと痛感しています。

打ち合わせと調査設計にあと1~2日、実査期間にあと1日を増やし、ご予算もあと1、2割いただくことができれば、もっとご満足頂けるリサーチサービスが提供できると思うのですが・・・

このあたりはお客様と、リサーチ会社の双方が改善して行くべき課題だと思います。

 

2011年6月13日 (月)

インターネット調査の優位性

私は1980年代から28年ほどリサーチの世界に携わってきました。

前半の14年間は、伊藤忠系シンクタンクのCRC総合研究所(現在の伊藤忠テクノソリューションズ(CTC))で、色々な従来型調査に携わり、後半の14年間は社内ベンチャーでマイボイスコムを立ち上げて、インターネット調査の世界に係わっています。

そのため、従来型調査とインターネット調査の違いや、以前のリサーチ業界と現在のインターネット調査業界の違いも、両方の実務経験から肌で感じています。

従来型調査と比べて、インターネット調査は、早くて、安くて、インターラクティブ性に優れ、画像や音声も使えるし、レアサンプルの意見も聞くことができるし、とっても便利で多機能な調査手法です。

そして、経営判断にスピードが求められる現在に、とても合致している調査手法だと思います。

この特性を正しく活用していけば、リサーチ業界にも、マーケティング業界にも貢献できる有力な調査手法であり、「生活者の意見や要望を企業や社会に伝える」というリサーチのミッションにとって、大変有効な武器になることは間違いありません。

そして、この10年ほどで、だいぶその役割は果たせるようになりました。

インターネット調査市場で色々な問題が生じていることをご紹介しましたが、これからインターネット調査業界がクオリティの改善を進めれば、必ず社会に役に立つサービスとしてより発展できると信じています。

ここからはインターネット調査の優位性についても、最近の出来事や、当社の考え方なども入れて紹介させていただきます。

 

〇マイボイスコム http://www.myvoice.co.jp/

2011年6月15日 (水)

優位性1) 早さと安さ

私はシンクタンクで色々なマーケティング調査や社会調査を経験しました。調査手法も、郵送調査、訪問調査、電話調査、ディプスインタビュー、グループインタビュー、会場テスト、文献調査、統計分析調査など、色々とやらせてもらいました。

これらの従来型調査をやった経験から、やはりインターネット調査の「早さと、安さ」は大きな魅力だと思います。

例えば「郵送調査」では、調査票を作り、調査票等の印刷を行って、発送ラベルを作成し、調査票の発送、回収、回収票のチェック、督促状ハガキの送付、回収票のパンチ入力、集計、分析、レポート作成と進めて行くと、どうしても2ヵ月から3ヵ月の期間がかかります。

また、例えば500件の回収でも回収率は5~10%しか期待できないので、5,000~10,000件の印刷・発送と、ラベル代やパンチ代、回答謝礼(500円のテレカや図書券)の発送などで、どうしても400~500万円の費用になります。

それが、インターネット調査だと調査設計からレポート作成までで14営業日、費用も20問で90万円、30問で120万円ほどです。また、回収~集計であれば、4営業日、費用は20問で35万円、30問で45万円ほどで出来てしまいます。

郵送調査との比較で、スピードも費用も1/4か、1/5になった感じです。

そのため、インターネット調査は従来型調査を代替するとともに、これまで費用が大きくて取組めなかった企業のリサーチニーズを掘り起こしました。

早く、安く、生活者の声が聞けるのはインターネット調査の大きな特徴ですし、企業が情報共鳴型マーケティングを進める上での重要なツールになっていると思います。

2011年6月20日 (月)

優位性2) インタラクティブ性

インターネット調査はインタラクティブ性(双方向性)にも優れています。

これまでの郵送調査や訪問調査は、数ヶ月の時間と数百万円以上のコストがかかりましたので、1度調査を実施したら、追加で聞くことの難しい世界でした。

そのため実査の前には、クライアントさんと何度も話し合って検討し、できるだけしっかりした調査設計と調査票を準備してから開始しました。

そして、あとはちゃんと課題解決に向けた調査結果が得られるのか、発送から回収、パンチが終わり、集計結果が出るまでの3、4週間は祈るような気持ちで毎日の調査票を待ち続けていました。

今から考えると、この何度も話し合って決めることと、やり直しは聞かないという気持ちと、結果が出るまで祈るように待つ時間はリサーチにとって大切なことだったように思います。

この様な環境だと、どれだけ調査の前に仮説を考えても、調査結果を見て「それが何故なのか?」ということが分からなくても、それを確かめる手段がなく、「おそらく原因はAAなのでしょう、きっとBBの影響なのだと思います。」で終わっていました。

それが、インターネット調査では原因や方向性に仮説外の結果が出ても、想像や推察で判断するのではなく、その該当者に直接聞くことで判断できるようになりました。

これも調査手法としての前進だと感じています。

2011年6月23日 (木)

優位性3) 大規模回収とレアサンプル回収

大規模回収や、レアサンプル回収ができるのもインターネット調査の特徴です。

当社では1998年7月から、毎月、自主調査を実施していますが、こちらは毎月5万人の回収を行っています。こんなに大規模なアンケートデータベースを、弊社の様な小さな企業が作れたのも、ネットリサーチが安価にできるからです。

また、お客様から依頼された調査でも、3ヶ月に1回、継続して全国から1万件のサンプルを取って、9ブロックの地域別×性別×年齢階層別に、四半期ごとにブランドの変化を見る調査を、3年間お手伝いしたこともあります。

こちらは3年間で12万件の回収を行いました。これを郵送調査でやったら、回収率が10%としても120万件の発送が必要です。印刷と発送費とラベル代、回答謝礼と郵送費、人件費も入れるとざっと3億5千万円もかかることになります。

こちらのクライアント様はとても大きな企業でしたが、年間で1億円の予算がかかったら絶対に実現できなかったと思います。

また、大規模回収によってレアサンプルの調査もできるようになりました。

Aという緑茶飲料の飲用者をターゲットにBという商品を提案したいので、Aの主飲用者を5歳刻みの年齢層×性別で、各セル100人づつ回収して、どの階層に一番ニーズがあり、どの特性がどの階層に1番響くか分析したいという様なリサーチもできます。

5年以内にAブランドのPCから、BブランドのPCに買い換えた人から500人の調査を行い、ブランドスィッチの実態を分析したいというリサーチも沢山やっています。

ただ、インターネット調査ではかなりのレアサンプルでも回収できるため、お客様から「XXXを持っていて、XXXを行っていて、XXX業界で働いている人から500人のデータを取りたい」という様な、レアな条件を3つも4つも掛け合わせたご要望が来ることもあります。

この様な出現率が1%にも満たないようなケースでは正しい調査ができませんが、レアサンプル調査もインターネット調査の優位性だといえます。

2011年6月30日 (木)

優位性4) 音声や動画の活用

調査に音声や動画や、サイト情報を使えるのも調査の対象範囲を広げることになりました。

動画はテレビCMの事前のクリエイティブ評価や、事後の純粋想起の後に動画をストリーミングで出して助成想起でもう1度答えてもらう様な場面でよく使っています。

また、ある回答をいただくのでサイト上に出ている説明や動画を見ていただいたり、その流れで、特定のサイトを見て使ってからサイトの評価や改善要望を聞かせてもらう「WEBサイト評価」の様な調査もメニュー化しています。

この様な動画を見て頂くテレビCMの評価や、実際のWEBサイトを見て頂く調査などは、以前であれば銀座や赤坂の会場に集まってもらって回答する、会場テスト(CLT)でしかできませんでした。

静止画だけでなく、動画や音声を調査票に埋め込むことができ、その画像や音声を聞いてからでないと設問に答えられないような設定もできますので、わざわざ集まっていただかなくてもテレビCMやWEBサイトの調査をすることもできます。

こんな音声や、動画、サイトの活用もインターネット調査の特長だと思います。

〇広告調査

http://www.myvoice.co.jp/menu/ad.html

〇WEBサイト評価調査

http://www.myvoice.co.jp/menu/web.html

2011年7月 2日 (土)

優位性5) 回答時間の指定

郵送調査は2週間から3週間の回収期間が必要です。訪問留め置きでも調査員が来週取りに来るのでそれまでにご記入下さい、という様な依頼になります。

これらの方法だと回答の「日時」を指定することはできませんが、インターネット調査であればある特定の日や特定の時間に答えてもらうことができます。

当社でよくやっているのは「新聞広告の評価」です。例えば来週の日曜日に読売新聞と朝日新聞の朝刊に1面広告を載せるので、その効果を把握したいというような調査になります。

この場合は、同新聞の購読者を予めパネルから抽出しておいて、日曜日に朝刊を読み終えた13時頃に依頼メールをお送りして、「今日は〇〇新聞の朝刊をお読みになりましたか・・・」、「その新聞で〇〇の広告をご覧になりましたか」、「この広告をご覧になって感じたことは・・」という様な調査を行います。

それから、「日記調査」というものがあります。

これは2週間くらい毎日、何時に何をしたのか、どのメディアに接触したのか、どの広告を見たか、あるカテゴリーの商品を何時ごろどこで買って、どの様に使ったのかなどを、事前に了解をいただいたモニターから毎日答えてらう調査です。

これなどは記憶がはっきししている、当日の夜10時から翌日の朝の9時までに回答いただく様な設計にしています。

あまりモニターの方に負担をかけ過ぎると良くありませんが、何日の何時頃答えて下さい。というお願いができるのもインターネット調査ならではないでしょうか。

2011年7月 9日 (土)

インターネット調査の課題

インターネット調査は、早くて、安くて、インターラクティブ性に優れ、画像や音声も使えるし、レアサンプルの意見も聞くことができるし、とっても便利で機能的な調査手法です。

でも色々なリサーチ会社が、色々な考え方や運用方法でインターネット調査を提供しているため、多くの問題が生じています。

「意思決定への貢献度」が下がり、「顧客満足度」が低下している原因としては、以下の様なことがあると感じています。

1)お客様との課題共有の不足

2)短時間での回収

3)多頻度な調査依頼

4)謝礼ポイントの大幅な削減(低ポイント)

5)過度な回答負荷とウェブ制御

6)データクリーニングの不備、欠如

MRは目に見えない情報を扱っているサービスですので、その品質は目に見えず分かりにくいところがあります。

でも問題のあるデータを分析していくと、矛盾する回答が多かったり、どう見ても市場と乖離した結果が出て、本当にこの調査結果をもとに判断して良いのか??、と不安と不信を感じてしまうことになります。

できるだけ代表性のあるデータを取るために最大限の努力をすることはリサーチ会社の責務だと思いますが、このあたりの認識がインターネット調査の世界では、ストンと抜け落ちてしまった感があります。

インターネット調査市場の課題について、日頃感じていることを少しづつお伝えしたいと思います。

 

〇マイボイスコム http://www.myvoice.co.jp/

 

2011年7月14日 (木)

課題1) 打ち合わせ時間の不足

インターネット調査ではこれまでの従来型調査と比べて、調査期間が大幅に短くなりました。そして、これまで数週間の単位で計画してきたリサーチが、数日、数時間単位になっています。

そのため、お客様とリサーチャーの打ち合わせ時間が十分に取れずに、コミュニケーション不足のまま実査に入ってしまうのが課題だと感じています。

従来型調査には大変な時間とコストがかかり、やり直すことなんて出来ませんでしたので、お客様とリサーチャーが何度も会って、打ち合わせをしながら課題とゴールを共有し、調査設計や、分析軸を決めていました。

でもインターネット調査の世界は、午前中に調査票案を送るので、その日の夕刻から回収を始めたい、というような慌しいスケジュールの調査もかなりあります。

打ち合わせをする時間もなければ、リサーチャーが何のための調査で、何に気をつけて、何がゴールかも、十分に理解できないまま作業に入ることになります。そのため、お客様に対する知恵出しや、サービス対応が十分できないことも増えているように感じています。

あと2日間の日程と、直接会って打ち合わせのできる若干の費用がいただければ、もっとサービスの質を高めることができるでしょう。

インターネット調査会社のリサーチャーも、お客様のお役に立ちたいという気持ちで働いています。

その気持ちや専門性がもっと発揮できる環境にして、お客様とリサーチャーがしっかりベクトル合わせを行い、知恵を出し合えることが大切なのではないかと感じています。

 

 

2011年7月16日 (土)

課題2) 短時間での回収

お客様にとって実査の時間が短くて、すぐに回収データや集計値が使えるというのは魅力的なことだと思います。

そして、インターネット調査会社によっては、夕方に調査票案をもらえれば、翌日の午前中にはクロス集計まで納品できるという提案をしているとこもあるようです。

でも午後1番で調査票案を貰って準備をしても、回収開始は夕刻から夜になります。そして、その集計表を翌日の午前中に納品するには、回収時間は12~13時間が精一杯になるでしょう。

また、深夜から早朝の回答者は少ないため、実質的な回答時間は4~5時間しかありません。

ある時間帯に答えられる人と答えられない人では、個人の意識や消費行動にも違いがあるので、あまり短い回収時間になると回答データが偏って、とても危険なデータになってしまいます。

当社では自社で回収実験を行い、回答意向者の95%以上が答えている「48時間での回収」を基準にして、属性別に細かくサンプル数を設定しています。

また、当社と業務提携しているインテージさんも、「最低でも24時間以上でする」というのを最低限の品質基準にしているそうです。

夕刻から回収して翌日の午前中には集計納品できるというのは、一見便利で素晴らしいサービスのようですが、データの品質を考えれば、適切ではありません。

〇当社パネルの回収時間と回収率の実例

http://www.myvoice.co.jp/feature/quality1211.pdf

 

 

2011年7月17日 (日)

課題3) 多頻度回答

私がこれはどうなのかな?、と思っている課題の1つが「多頻度回答」です。

パネルを使った調査は、以前も郵送調査やFAX調査、電話調査で行われていましたが、その頃は1人のモニターには月に2、3件以上は行わない、そして、2~3年したら入れ替えるというのが常識だったと思います、

そして、多頻度回答が良くない理由としては、以下の様なことが言われていました。

1)モニターが回答慣れをしてしまう。

2)多くの調査に答えることで特定分野について学習してしまう。

沢山の調査に継続的に答えていると、そのモニターの方は一般的な生活者ではなく、こう答えて欲しいのだろうとか、前の調査で答えたあのことかな、と考える「プロの回答者」になってしまい、普通の生活者と異なる回答データになってしまう懸念があります。

当社ではパネルの規模に対して案件数が少ないため、平均すると1人のモニターは月に1、2件しか回答していませんが、ある大手のネットリサーチ会社では、「1人のモニターに平均で1日4件の調査を依頼している」と聞いています。

1日4件ということは1人のモニターに「年間で1,000件の調査」ということです。

多頻度回答でどの程度、回答がずれるかは検証はできていませんが、これまでのリサーチ会社の常識では、信じられない量のアンケートに答えているモニターことになります。

多頻度回答は良くないという考え方自体がもう古いのでしょうか???

 

2011年7月18日 (月)

課題4) 謝礼経費の大幅削減

モニターがアンケートに答えてくれるのは、謝礼が貰えるからだけではありません。自分の意見や回答が製品やサービスとなって帰ってくる、社会に反映されると思うから、一生懸命に考えて答えてくれていると思っています。

当社ではそれを「生活者の言いたいニーズ」と言っていますが、欧州ではアンケートに謝礼がなく、自分の意見が言えるのがインセンティブなのだと聞いたこともあります。

郵送調査の謝礼は、「500円のテレフォンカードか図書券」が相場でした。ネットリサーチは郵送調査と比べて負担が小さいので、200~300円の謝礼が丁度良いのではないでしょうか。

でも実際のネットリサーチ市場では、1問が1円とか2円を基準にしているところがあり、30~40問のアンケートで30~80円の謝礼ポイントが標準となっています。また、10問ほどの予備調査で2~3円という会社もあります。

そして、あるインターネット調査会社の謝礼は1ポイントが1円ではありません。1ポイントが0.04円で「謝礼が1ポイント」のアンケートもあるようです。1回の謝礼が0.04円、たったの「4銭」でアンケートに答えてもらっているんですよね。

この謝礼であれば1万人にお答えいただいても、400円のコストにしかなりません。そして、これが相当な価格競争力になってインターネット調査市場に帰ってきています。

当社は当初、1回あたり200~300円の謝礼ポイントを設定していました。でもインターネット調査の製造原価に占める謝礼ポイントの比率は大きく、徐々に引き下げざるを得なくなり、昨年から業界水準の「1問=2円」まで下げざるを得ませんでした。

アンケートは、モニターの方にそれなりの時間をいただいて、貴重なお知恵をお貸しいただいているので、そのことに対する感謝と礼儀にふさわしい謝礼を負担すべきだと思います。

適切な謝礼をお支払いし、お客様からも正当なコストとして認めて頂ければ、モニターの裾野も広がり、もっと高い回収率も確保できて、より良い情報が集められるようになるでしょう。

2011年7月23日 (土)

課題5) 回答負荷とウェブ制御

インターネット調査は回答がしやすく、紙に書く郵送調査や、人に話す面接調査と比べても負担は少ないし、FAもメールを打つ感覚で簡単に書けるのが良いところです。

それでも、モニターが集中して回答いただけるのは15~20分が限界です。ある調査によると、回答時間が20分、25分になると途中離脱者が増えるといいます。

しかし、お客様はせっかくなので、あれもこれも聞いておきたいということになり、これはこういう答えであろうとかという様な主観的な調査票になっていることもあります。それを冷静で客観的な立場で、分かりやすく、答えやすい調査票を作るのがリサーチャーの役割といえます。

しかし、明日の午後に調査票案の原稿を入れるので、夕方から回収を始めて欲しい、というスピードで業務を進めると、その様な役割を果たすのが難しくなってしまいます。

今はメールと添付ファイルが中心ですが、それでも調査票の確認に1~2日ほどの日程を設けて、お客様と担当のリサーチャーが対面でやり取りをするだけで、だいぶ答えやすい調査票になると思います。

それから、「これはどうかな??」と最近感じるのが、マトリクス設問と、ウェブ制御の過度な利用です。

マトリクスにすると設問数が減ってコストが減らせるため、蜂の巣の様な調査票を作られるケースも見られます。これだと回答者は見るだけでうんざりしてしまい、ちゃんと答えて頂けないでしょう。

また、ウェブ制御が強すぎると、「この中には該当がないのに選べというの??」、「良く分からないから答えられないのに何で答えなくてはいけないの??」、という回答者の負荷になってしまいます。

これまでは「分からないも答え」、「未回答も1つの答え」という思いでデータを見ていたと思います。そういう回答者本位の調査にして行くことも、大切なことではないでしょうか。

2011年7月30日 (土)

課題6) データクリーニングの欠如

回収した個票にはどんな調査方法でも勘違いの回答もありますし、回答に不備のあるものです。

また、モニターの1部には、とにかくポイントが貯まればよいという登録者もおられますので、データクリーニングはしっかりやらなければ、お客様に責任あるデータをお届けすることはできません。

しかし、インターネット調査会社の中には回収後のデータクリーニングをしていないところや、十分な確認をしていないところもあるようです。

データクリーニングをしっかりやるためには、せっかくコストをかけて集めた回答を削除しなくてはいけませんし、ロジックチェックや、目視でのチェックにかなりの時間(=作業コスト)がかかります。

でもこのデータクリーニングにかける時間とコストは、必ず必要なものです。

当社の場合は、48時間の基準で回収を行い、ご契約の110%の回収(1,000件回収のご依頼で1,100件の回収)を行い、短時間回答者のカット、ロジッックチェックでのカット、目視での不自然な回答のクリーニングを、どんなに忙しくても必ず実施しています。

そして、お客様から「他社に頼んだデータがどう見ても変なので取り直したい。」、「クリーニングもしていないデータを納品されてしまって困っている。何とかならないか。」というご相談を何度も受けています。

回答しにくて負荷の多い調査票を、回収率の低いパネルに、極端に少ない謝礼で調査を依頼し、短時間で回収を終えて、5)データクリーニングも行わないで集計すると、回答データには2~3割の不備なデータが入っている可能性が高いので注意が必要です。

私たちリサーチ会社は、社会的な役割として、お客様にしっかりしたデータがお届けできる様に、品質管理にもっともっとしっかり取組むべきだと思います。

 

〇パネル管理とデータークリーニングの徹底

http://www.myvoice.co.jp/feature/

〇モニターとデータの品質管理の対策

http://www.myvoice.co.jp/service/quality.html

2011年8月 6日 (土)

マイボイスコムの生い立ち

当社は伊藤忠系シンクタンクの社内ベンチャー制度で1999年にできた会社です。社内ベンチャーの会社ってあまりないと思いますので、少し紹介させて下さい。

私が15年ほどリサーチャーとして働いていたCRC総合研究所は、伊藤忠商事や第一勧業銀行が主な株主で、科学技術計算、情報システム、シンクタンクを主な事業とする会社でした。設立は1958年と古くて、最初は伊藤忠電子計算という社名でした。

従業員は1,000人ほどで、2002年には東証1部になりました。そして、2006年に兄弟会社の伊藤忠テクノサイエンスと合併して、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)という会社になっています。

リサーチは労働集約的で、業務が個人のノウハウに依存するし、なかなか生産性向上が図りにくい仕事です。情報システムなどと比べると収益性が低く、大会社の経費を負担すると利益が出すのが難しいという課題がありました。

また、担当役員はリサーチなどやったことのない元商社マンとか、元銀行マンが3年おきに変わります。ある時に会社の方針で、50人の組織を一気に120人位まで拡大したのを切っ掛けに、大きな赤字部門になってしまいました。

しかし、現場には全く危機意識がありません。親会社があるし、大赤字の原因も親会社から来た役員がやったことでしし、赤字でもシンクタンク部門はなくならないと思い込んでいました。何とか黒字にしようという機運もなく、大きな赤字は続きました。

それから数年後に新しい社長が伊藤忠商事から来て、「集中と選択」、「IT事業に特化する」という経営方針が出されて、シンクタンク部門はリストラされることになりました。

シンクタンク部門で働いていた100人ほどの社員は、社内異動や退職や解雇で、あっという間にバラバラになり、その当時はA社長は本当に酷いことをする経営者だと思ったものです。

でも、その後、A社長と直接接する機会もでき、自分も会社を経営する立場になって考えると、上場企業の社長としては適切な経営判断だったと思いますし、ずいぶんと悩み苦んだのだろうと思います。

リサーチの仕事は「生活者の声をしっかり市場に反映させる」、「国民や住民の意見を行政に反映させる」という重要な社会的役割があります。

そして、リサーチャーは、社会の先端の情報に触れることができ、お客様の課題解決に係わることができ、自分のノウハウや創意工夫、熱意でよい仕事ができる。面白くて遣り甲斐のある仕事です。

しかし、個業の集まりで規模の効率化が働きにくいため、大きな会社が取組むには難しいフィールドだったのかもしれません。

〇伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の沿革

http://www.ctc-g.co.jp/corporate/history.html

〇マイボイスコム http://www.myvoice.co.jp/

 

2011年8月 7日 (日)

リサーチ部門のリストラ

会社のリストラでこれまで積上げて来た仕事がなくなる・・・。

そんなことは今の時代では当たり前のように起きていることなのでしょう。

自分も15年近く携わってきたリサーチの仕事がなくなり、IT特化という会社の方針で、新設されたITコンサルティング室の部長補佐になりました。でもITやシステムなんて全然分からないし、興味もないし、これでコンサルなんかやっても役には立たないだろうと実感しました。

やっぱり20代でどんな仕事に携わったかが重要です。20代で経験した地道な仕事が基礎になり、そこに30代、40代での色々な経験を積上げていくことで、仕事の実力が決るのだと思います。

また、リサーチ部門がリストラされて1番辛かったのは、自分なりに一生懸命に仕事をして、長い年月をかけて信頼をいただき、色々なご相談を頂けるようになったお客様に、「会社の方針でもうリサーチの仕事ができなくなりました。申し訳ありません。」と言わざるを得ないことでした。

私の上司の室長も50代で商社の鉄鋼部門から来た方で、自分よりもITの「あ」の字も、コンサルの「こ」の字も分からない人でした。その室長からとにかく何でも良いからITを勉強しろと言われて、本を読んだり、高いセミナーにも出ましたが、実務経験がないとやっぱり駄目でした。ちっとも頭に入らないし興味も沸きませんでした。

30代後半から、これまでの経験やネットワークが活かせない世界で生きて行くのは、なかなかしんどいことです。毎日が何をやっていいかも分からず、自分の無力を感じる毎日でした。

そして、やっぱり自分が好きで自信もあり、色々と経験もしてきたリサーチの世界に戻りたいという思いが強くなりました。

人生は面白いもので、捨てる神あれば拾う神もあるんですね。悶々とした生活を半年ほど過ごした頃に、ネットリサーチを始める切っ掛けがやってきました。

2011年8月13日 (土)

インターネットで調査?

ITコンサルティング事業室は立上げたばかりで、社内の寄せ集め的な組織でしたので、あまり仕事もありません。上からは「ITを勉強しろ」と言われるけど、目の前に仕事がなければ勉強するのもなかなか難しいものです。

毎日、これで良いのだろうか?と思いつつ、良く分からない本を読んだり、あまり興味の湧かない受講料の高いセミナーに行く毎日でした。

これまではリサーチの仕事が忙しくて、10時、11時まで働いていたのが、夕方の5時にはちゃんと仕事が終わります。正確に言うと1日に4時間くらいは本を読んで、あとは社内をブラブラしていたので、ちゃんと働けば2時には仕事(勉強)が終わるような毎日でした。

こういう生活って一見楽そうですが、やっている本人は大変に苦しいものです。

本来はやれる仕事のフィールドがあり、そこではお客様の役に立ち必要とされていたのに、その仕事はやってはいけない。そして、目の前にある業務には興味も感じられない。

こういう環境だと人は自信がなくなり、気持ちに張りがなくなり、毎月のように風邪をひくようになります。人間の体は不思議なものです。10年分の風邪を半年でひいてしまいました。

そんなもどかしい生活でしたが、ある雑誌を眺めていたら「これからインターネットが今後普及してきて、マーケティングにも活かされるようになる。」ということを読みました。その中で、米国のVote Links というサイトで、世の中の話題や問題についてインターネットで世論調査の投票をして、結果を公開しているという記事が面白いと思いました。

インターネット上で一般の生活者の意見が取れるのかあ・・・

でも本当にまともに答えてくれるのだろうか?、回答者は何が目的で答えてくれるのだろうか?、母集団が明確でない代表性のない回答に意味があるのだろうか?

そんな疑問は感じましたが、「インターネット上で一般の人の意見が聞ける。回答してくれる。」ということがとても不思議で、新鮮な印象を覚えました。

2011年8月14日 (日)

ビジネスプランコンテスト97

これまでの自分は色々なリサーチの課題に取組み、郵送調査、訪問調査、ヒアリング調査、グループインタビュー調査、観察調査、文献調査、統計分析調査など、色々な調査手法も経験していました。

実査をしっかりやることはリサーチの基本ですが、郵送でも訪問でも実査は大変な力仕事で、人の労力も時間も費用も沢山かかります。それがインターネットで効率的にできたら素晴らしいと感じました。

また、この頃に色々なお客様のマーケティングをお手伝いしていて、企業と生活者が双方向性のやり取りをしながら両者で考えて行く、「情報共鳴型マーケティング」を創って行くことが大切で、インターネットでその様な環境が作れたら面白いと思いました。

毎日夕方の5時には仕事が終わる恵まれた環境にいましたので、インターネットは何で、米国で動き出したインターネットマーケティングについて少し調べてみることにしました。

そんな時に日経新聞の小さな記事で、社団法人ニュービジネス協議会が「ビジネスプランコンテスト97」のビジネスプランを公募していることを知り、丁度良いので今考えていることをプランにまとめて、このプランコンテストに出してみることにしました。

「ネットフォーカスグループの組織化による情報サービス事業~生活者と組織のコワークを促進するネットワークの形成を目指して~」

これがその時に考えたプランのタイトルです。

考えたサービス内容は今のネットリサーチそのものですが、97年の当時はネットリサーチも、インターネット調査や、インターネットリサーチという言葉もなかったので、こんな長いタイトルになりました。

このビジネスプランが書類審査と、7人の審査員の前でのプレゼンを経て、「優秀賞」を頂くことができました。「あれ、これはビジネスになるのかもしれないな。」、「新しいリサーチの形になるのかもしれないな。」、そんなことを具体的に考える切っ掛けになりました。

そういう意味で、この様なベンチャーを支援のイベントって大切だと思います。このプランコンテストは、私の人生にとって大変ありがたい存在でした。

この時に頂いた小さなトロフィは今でも大切にしています。

でも、副賞でいただいた20万円は1ヶ月ほどでほとんど友人と飲んでしまいました。

2011年8月15日 (月)

起業家の方々

「ビジネスプランコンテスト97」で有難かったのは、有楽町の東京国際フォーラムで受賞パーティまであり、色々なベンチャー起業家にお会いする機会があったことです。

こちらの受賞式はベンチャー企業を立ち上げてりっぱに経営している方の表彰がメインでしたが、そこには新聞や雑誌によく出てくる有名なベンチャー経営者の方々が目の前に沢山おられました。

日本マクドナルドの藤田社長、ユニチャームの高原社長、ドトールの鳥羽社長、CSKの大川社長など、いつも雑誌で拝見するきらびやかで有名な経営者が目の前におられます。

勇気を振り絞ってご挨拶に伺うと、皆さんとても明るく、エネルギッシュで、魅力的な方々ばかりでした。

藤田社長には学生部門で賞を取った慶應大の大学院生と2人でご挨拶に行きました。藤田社長が書かれていた「ユダヤの商法」等の本は何冊か読んでいたので、ドキドキしながら話を伺いに行きました。

すると藤田社長が彼女が慶應大の学生だと聞いた時に、「そうかあ君は慶應の学生かあ。私は東大法学部だったけど、回りは役所で働くことしか考えていない馬鹿な奴が多くてちっとも面白くなかった。自分も慶應の様な自由な学校に行っていれば、人生が変わっていたかもしれんな。」と仰いました。

それで私が「もし藤田社長が慶應に行っていたら、今頃は何をされていたと思いますか?」と質問をさせていただきました。

藤田社長はうーん、と5秒くらい考えてから、「結局は今と同じ商売をしていただろうな。この道しか考えられないなあ。君たちも商売の世界でしっかり頑張りたまえ。」と言って豪快に笑っておられたのを良く覚えています。

とても人間的に大きくて魅力的な方でした。話を伺ったのはおそらく5分ほどだったでしょうが、1時間くらい話をした様な興奮を覚えながら帰路に付きました。

藤田社長は2004年にお亡くなりになりましたが、今でもその時に頂いた名刺を大切にしています。

こんな素晴らしい出会いも「自分の好きな仕事を立ち上げてみたい・・・」という気持ちを強くしてくれました。

2011年8月17日 (水)

ヘッドハント

インターネットを使ったリサーチの事業をやってみたいなあ・・・

でも会社ってどうやって作るのだろう?

そもそも事業を始めるにはいくらお金が必要なのだろう?

急に会社を作ろうと思っても、普通は何をどうしたら良いか分からないですよね。こういうことは考えれば考えるほど不安になるもので、少し考え出しただけで直ぐに煮詰まりました。

そんな時に、会社に「実は私はXXXXというヘッドハント会社の者です。高井さんのキャリアを必要としている会社があります。是非、1度話を聞いてもらえませんか。」という電話がありました。

こういう電話って本当に突然会社にかかって来るんですね。どんな話か分かりませんでしたが、自分は仕事がなくなって中途半端な状況でしたので、「では、お話だけでも・・・」と小さな声で答えて指定の喫茶店に行きました。

そこには60歳過ぎの大柄で温和そうな紳士が待っていました。ある金融系シンクタンクのマネジャーのお話でした。なるほどそのポジションなら今までの経験も活かせそうです。「興味があるので具体的な話を聞かせて下さい。」と話を進めました。

先方の役員と3度ほど面談をして、是非来て欲しいということになりました。マーケティング分野を強化するために経験者のノウハウが必要で、私の経験はピッタリだと言って頂けました。そして、提示された条件も現職を上回るもので全然悪くありません。

この話に載れば自分が主体的に働けるリサーチの世界に戻れるんだなあ、とちょっと安心しました。

しかし、「インターネット上のフォーカスグループの構築による情報サービス事業」の構想と、少し前にお会いした起業家の皆さんの魅力的な表情や、藤田社長の「結局この道しかなかったなあ」という豪快な笑い声が頭から離れていませんでした。

生活者の声をインターネットで集めて、企業にお届けする。生活者と企業のインタラクティブな情報のやり取りの中で、情報共鳴型マーケティングのお手伝いする。そんなサービスを作ってみたいという気持ちだけが大きくなっていました。

それで、金融系シンクタンクの方には、「興味はあるのですが、しばらく考えさせて欲しい。」と最終返答を延ばしていました。

2011年8月19日 (金)

呼び出し

ヘッドハント会社の情報管理はしっかりしていると思ったのですが、私の様に3ヶ月ものらりくらりを続けていると色々あるみたいです。

ある時、経営企画部長のIさんから急に呼び出しがありました。行ってみると「高井さん、何か会社に隠していることないかな?」と言います。「何のことでしょうか?」と聞くと、「XXX総研から君が欲しい、という申し入れが来て、A社長が引き止めるように言っている。」というのでした。

もちろん会社には内緒でプライベートな時間に動いていたのに、突然、自分の転職話が経営企画部長から出たら焦りますよね。「何でばれたの?、誰がばらしたの?」と頭の中は一瞬で真っ白になりました。

私の態度が煮え切らないので、先方のシンクタンクかヘッドハントの会社が情報を流してしまったのです。(ヘッドハントもこういうこともあるので注意した方が良いですよ)

でもばれたのならしかたないと、言いたいことを言わせてもらいました。

「会社の方針や方向性と合わないで。だいたいA社長は酷いです・・、私はリサーチャーをやるためにこの会社に入って頑張ってきたつもりです。やっと築いたお客様の信頼に対して不義理をしなくてはいけない気持ちが分かりますか?、私にはITコンサルなんてできませんし、やる気もありません・・」

「この会社でやれることないのか?、できるだけ希望に沿った異動を考えるけど。」

「こんな会社にやりたい仕事なんてありません。リサーチの世界で生きて行きたいので、申し訳ないですが辞めさせて下さい。」

「今から銀行が作ったシンクタンクに行っても面白くないんじゃないか。」

「でも今よりはずっといいと思います。」

「あまり君にとって良い選択じゃないな。他には本当に君のやりたいことはないのか?」

・・・・・・

「実はインターネットを活用した情報サービスの構想で優秀賞を頂きました。その事業をやりたいという思いはあるのですが・・」

「優秀賞を取るなんてすごいじゃないか。その事業プラン、俺にも見せてくれよ。何か力になれるかもしれないからさあ・・」

という流れから、I部長との話しが始まりました。

2011年8月20日 (土)

社内ベンチャー制度って

「面白いプランじゃないか。応援するからCRCの新規事業でやってみろよ。」

「CRCのコストやスピード感覚では無理ですよ。」

「じゃ子会社を作ってやるのはどうだ。」

「もう親会社に振り回されるのは嫌なんですよ。」

「じゃ、会社でベンチャー制度を作ってやる。それで挑戦してみたらどうだ。」

「社内ベンチャー制度って何ですか??」

「丁度社内活性化のために必要だと思っていたんだ。俺がいい制度を作ってやるからやってみろよ!」

実際にはI部長と2人で4、5回やり取りをしたのですが、こんな話の流れで「社内ベンチャー制度」を作ってもらって、ネットリサーチ事業を始めることになりました。

ヘッドハンティング会社が意識的にリークしたのか、先方の総研が先走ったのかは分かりませんが、人生なんて本当に分からないものです。

どうやって会社を作ったら良いか分からない、会社を創る資金が十分にない、システムをどこに頼んだら良いか分からない、事務所も見つけなくてはいけない、そんな課題のほとんどが「社内ベンチャー制度」でやらせてもらうことで一気に対応方法が見えました。

I部長は、その後、伊藤忠商事の部長に戻って、ファミリーマートのUSA社長や常務をやって今年退任になりました。その後も懇意にさせていただいて、退任時にも会食をして、その時のお礼を申し上げることができました。

Iさんも私の人生の恩人です。普通は部門のリストラという事情はあっても、あんなに勝手なことを言う社員の話を粘り強く聞いてくれて、新しい制度まで作ってくれたことに心から感謝をしています。

こういうこともあるから、人生は面白いのだと思います。

2011年8月21日 (日)

事業化の準備

I部長が作ってくれた社内ベンチャー制度で、今で言う「インターネット調査事業」にチャレンジすることを決めました。

お誘いを受けていた金融系シンクタンクの経営企画部長に説明したら、「君は絶対に騙されているよ。会社はそんなに甘くはない。君1人のことで新しい制度を作ったり、新しい会社を作ったりすることはないよ。そんな危ない話に乗って、この話を断って本当に良いのですか??」と忠告されました。

でも、I部長は約束どおりに社内ベンチャー制度を作ってくれました。そして、その制度で会社を作るから、A社長と、K副社長に事業プランを直接説明するように言われました。

しかし、トップのお2人に事業プランを説明に行くと、思わぬ反応が寄せられました。

A社長は「高井君なあ、僕は真剣に君のプランを読んだけど、この事業プランが本当に商売になるのかどうか分からんかった。」と仰ります。

そして、K副社長は「高井君ねえ。この事業は絶対にうまく行かないよ。これは止めた方が良い。この事業がうまく行かない理由は4つある。」と言って、できない理由を論理的に説明してくれました。

1)インターネット上に人は個人情報など恐くて登録しない。

2)もし登録してもいい加減な人がいい加減な答えしか書かない。

3)いい加減な答えをいくら分析しても何も役に立つ情報にならない。

4)役に立たない情報に企業はお金を払わない。

だから商売にならない・・・というものでした。

K副社長は東大出で頭が良くカミソリと言われていて、IT業界にも精通した方でした。1997年のインターネット環境からするとこれが常識的な見方だったのだと思います。

社内ベンチャー制度はできたものの、それに私のプランを適応するのは時期尚早、1年間は準備をして、その結果を見てから判断するという流れになりました。

分が悪くなるのを見てI部長が援護射撃を打ってくれました。「社長、これからはインターネットの時代で、こういうビジネスは迅速に取組むことが必要なのだと思うのですか・・・」

「いや、I君、わしは彼のプランを真剣に何度も読んだが、本当に商売になるか分からんのだよ。この状況で進むのは危険なので、ちゃんとF/Sをやらせるべきなのとちゃうんか。」と A社長は引きません。

私は頭に血の上るのが分かりました。「これじゃ話が違うじゃないかあ!」と怒鳴ってしまいそうになりました。でもその時に、私の事業プランにA社長が沢山の赤線を引き、色々とコメントの書き込みまでしているのが見えました。

A社長はちゃんと自分のプランを読んでくれている。社長はちゃんと読んでくれているんだ・・・。そう何度も心の中で繰り返していううちに冷静になりました。

社長室を出るとI部長は私を会議室に招いて、「説得できなくてすまなかったな。でも2人とも悪い人ではない。お前のことを考えての判断なのだと思うよ。高井さんなあ、お前の力で爺さん達にちゃんとできることを見せてやれよ。」と仰りました。

A社長がちゃんとプランを読んでくれたという思いと、金融系シンクタンクの経営企画部長が言った「君は騙されているよ。」という言葉が頭の中で交錯していました。

2011年8月22日 (月)

ネットリサーチ会社の準備

A社長、K副社長との話し合いが終わり、4月からインターネット事業部に移り、机1つとPC1台と、300万円の予算を貰って、社内発注で簡単なシステムを作ってネットリサーチの準備を始めることになりました。

そして、しばらくしてA社長に呼ばれて1対1で話をさせていただく機会がありました。

A社長から「新しい部署はどうや、インターネット事業部長にはちゃんと説明してあるからしっかりやるように。」と仰って下さいました。

でも自分は焦っていました。ちゃんとインターネット調査のビジネスが立ち上げられるのか、ちゃんと社内ベンチャーとして認めてくれるのか、そして、本当に会社が作れるのか・・・

それで、私は「これから不休不眠で急いで準備を進めるので、3ヶ月で大丈夫です。7月には会社を作るかどうか審議をして下さい。」とお願いをしました。

でもA社長は「高井くんなあ。そんなに急ぐなよ、事業の準備には急いでも半年から1年はかかるものだ。その位は時間をかけてしっかり準備をしなさい。」と仰います。

でも、私は焦っていましたし、急げば3ヶ月でできると思い込んでいましたので、「いや、社長、寝ないで頑張りますので3ヶ月で線を引いて下さい。それまでには何とかやってみせますので。」と言うと、また「いやいや、半年から1年はしっかり準備をしなさい。」と言います。

「でも社長、私は・・・」と3度目に食い下がった時に、突然A社長が「お前なあ、商売をなめたらあかんでえ。自分は伊藤忠で長いこと繊維の商売をやり、何人も商売で失敗して夜逃げをしたり、家庭を崩壊させたり、自殺したりした人を見ているんだ!、君にそんなことをさせないために言っているのだから、黙って私の言うことを聞きなさい!!」と厳しく言われたのでした。

でもその時は全く納得できませんでした。本当にわからずやなオッサンだなあ。7月までにはしっかりしたF/Sをやってみせるから見ていろよ、という気持ちでした。

簡単なシステムを作ってもらって、モニター募集を開始したのが6月で、その翌月の1998年7月から、今も毎月実施している自主調査の「定期アンケート」を開始しました。

色々と工夫をすることで、モニターの登録者も徐々に増えてきました。そして、調査を依頼するとしっかりした回答が帰って来ました。回収したデータを大切に分析したらちゃんと傾向値も出てきます。コメントも8割以上ありリッチでしっかりした内容であることに驚きました。

そして、以前お取引していた企業の方々から、「高井さんが始めたのなら協力するよ」といってトライヤルの仕事も出してもらえました。

すごいなあ。モニターさんはちゃんと真面目に答えてくれるじゃないですか。そして、企業の皆さんも面白い、結構使えるかもと仰っていただけました。この頃は毎日が驚きと小さな感動の日々でした。

K副社長の仰る4つのできない理由が、1つ1つクリアできてきた思いで徐々に自信もできてきました。

でも、一通り準備が出来たのは1997年の12月でした。準備を初めて9ヶ月も経っていました。

A社長の言っていたことが正しかったこと、世の中には亀の甲より年の功ということがあることを知り、自分のいたならさを実感した9ヶ月でした。

2011年8月23日 (火)

会社設立

9ヶ月の準備期間を経て、K副社長が言っていたネガティブな要因を潰して行きました。

1)インターネット上に人は個人情報など登録しない。→ 色々と工夫をして1万人近く集まりました。

2)登録してもいい加減な人がいい加減な答えしか書かない。→ 色々と検証しましたがちゃんとした分析傾向が出ました。

3)いい加減な答えを分析しても何も役に立つ情報にならない。→ 沢山のお客様に調査結果を見てもらいましたが、面白い結果だとご評価いただけました。

4)役に立たない情報に企業はお金を払わない。→ 20社から小さなお取引をいただくことができました。

「K副社長、4つの課題とも何とかクリアできそうです。」そんな気持ちで事業計画を作り、社内ベンチャー制度で会社を作るかどうかの経営会議に臨みました。

その前に、I部長の後任のK経営企画部長との打ち合わせがありました。「経営会議の資料を用意した。君の計画通り資本金は3千万円で、CRCが7割、君が3割の出資で始める。

CRCがマジョリティだからCRCの名前の付いた社名で、社長はCRCの役員から出して、君は専務ということでいいよね?」、「やらせてくれるなら、何でもかまいません。」ということで原案も決まり、1999年2月の経営会議で20人ほどの役員の前で、事業計画を説明させていただきました。

この時までにはもう絶対にやりたい。ネットリサーチを事業にしてみたい、そして、良い会社を作りたいという思いが強くなっていました。流れによっては土下座をしてでも頼むつもりで経営会議に臨みました。

1人の常務が口火を切りました。以前の上司で、シンクタンク部門を所管していた常務です。「この事業は意義がある。社内活性化のためにも、是非、進めてもらいたい。」

別な常務も「私も賛成だ。インターネットへの取り組みは大切だ。是非、頑張ってほしい。」と言ってくれました。残りの2人の常務も賛成の意見を言ってくれました。

そして、あのカミソリと言われたK副社長も、賛成の意見を、論理的に述べて下さいました。

しかし最後に、A社長が「ちょっと待てよ。K部長、この計画はちょっとおかしいんとちゃうか?」と仰います。

「何故、この会社にCRCの名前を付けて、何故、高井君が社長をやらないんだ。この事業は誰が考えて、誰がここまでやってきたのや。社長は高井君がやり、社名も彼が考えて付けのが筋とはちゃうんかい。この点の修正をすれば自分も賛成です。高井君、しっかり頑張れよ。」そんなまとめでした。

A社長はしっかり約束を守ってくれました。K副社長もちゃんと認めてくれました。会議でA社長の話を聞いた時には、自分は胸が詰まり、涙を堪えるのがやっとでした。

そして、沢山の方々のご理解と応援のもとで、マイボイスコム(株)は1999年7月に設立しました。

どんな会社も設立までには色々な思いや、経緯、そして小さなドラマがあるのだと思います。

あれからもう13年が経ちました。

そして、会社は作るより続けることの方が何倍も大変なこと、会社経営はなかなか思う通りに行かないことを嫌というほど痛感している毎日です。

それでも多くの方々の理解とご支援があってでできた会社ですので、そのご恩に応えるためにも、しっかり頑張って、感謝の気持ちを持って、マイボイスコムを世の中に役立つ良い会社にしたいと思っています。

 

〇マイボイスコム http://www.myvoice.co.jp/

〇会社概要    http://www.myvoice.co.jp/profile/

 

 

プロフィール

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Takai kazuhisa

伊藤忠系シンクタンクの社内ベンチャーで、1999年にネットリサーチ会社のマイボイスコムを立ち上げて社長をやっています。会社を作ることより続けること、良い会社を目指して経営することの難しさ日々感じながら奮闘している毎日です。夜は神田や神保町あたりの居酒屋に出没し、休日は自然散策やアウトドアを楽しんでいます!