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2007年4月17日 (火)

チャネル戦略調査

私の印象の深い仕事に、住宅関連メーカーの「チャネル戦略調査」があります。前述したようにCRCのマーケティングリサーチは実績も少なく弱小組織でしたので、グループ以外の企業からはほとんど仕事が取れませんでした。そんな中でたまたまこの会社のマーケティング部長をご紹介いただき営業に行きました。「何ができるの」と聞かれたので、「汗をかく大変な仕事でも頑張ってやります」と答えたのが気に入られてたのか、お取引を始めることができました。

最初は小さな案件をいただき、それができると次は中位の案件をいただきました。そんなこんなで1年位やっていたら、毎月の様に案件のご相談をいただくようになりました。このクライアントには非常に誠実で魅力的な方が多く、住宅業界ということもあり義理人情を大切にする社風でした。仕事を通じて私もこの会社が好きになり、先方の担当者も信頼してくれて、社内の会議にも「高井さんだからいいよね」といってよく同席させてもらいました。

ある時、今度非常に重要な調査をやるけどCRCでできるかな、との相談を受けました。これがチャネル戦略調査でした。歴史のある大会社ですから販売チャネルが複雑で、時代の変化に対応できていないのではという問題意識があったようです。チャネル戦略というとカッコいいですが、やることは東京と大阪で工務店や販売店を300件回って、川下の実態を調べるというものです。プロジェクト責任者は同社の専務さんで、全国から5人の社員が招集されて、うちの5人のリサーチャーと10名でチームを組みました。信頼して選んでいただいたからには頑張るしかありません。キックオフから気合が入りました。

ただここからが非常に大変でした。工務店や販売店は忙しく、電話で「第一勧銀系シンクタンクのCRC総研と申します。実は今度住宅関係の調査を・・」と話すだけで、「忙しいからお断り!」、「間に合ってます!」という感じで、がっちゃんがっちゃん切られます。ヒアリングのアポが全く取れません。「大丈夫ですか?」クライアントが不安そうに見ています。なんとかしなくてはいけません。テレマ会社も動員してかたっぱしから電話を入れて何とかアポが取れだしました。大阪ではビジネスホテルに10日間泊まりこんで、知らない街を走り回りました。そして夜は毎日お客様と飲みました。

工務店の社長は個性的で面白い方が多かったです。ビールを飲んだら答えてやるという社長には「飲んだら答えてくれるのですね。ありがとうございます」と言って飲みました。アポを取って訪問したのに社長が不在で恐縮する自分に、同行した担当者に「きっと現場で何かあったんだよ。待ちましょうよ」と言われて雨の中を2時間近く待ったこともありました。本当に社長が泥だらけで帰ってきて「すまんすまん現場で事故があり戻れんかった」といって、知り合いの社長まで紹介してくれました。同社の社員といい工務店の社長といい、建設業界の義理と人情を感じました。

結局300票を集めるのに大人10人が1ヶ月半もかかりました。ネットリサーチに慣れている皆さんからするとたった300票の回収で15人月かかったというのは驚きかもしれませんね。私もリサーチキャリア7年目でしたがこんなに大変な実査は初めてでした。このデータで何が言えるのか、本当に良い分析ができるのか、不安をかかえながら作業を初めて、最後はまた徹夜でレポートを書いていました。

幸いにして非常に良い調査結果が出て、「これを経営会議でも報告してくれ」と言われました。1部上場企業の経営会議で報告なんて初めてでしたので極度に緊張しましたが、夢中で30分のプレゼンをやりました。「ありがとうございました」と言って会議室を出ると、責任者の専務が中座して来てくれて「短い時間に良くまとめてくれてありがとうございました」とお礼を言ってくれました。すごく嬉しかったのと、ますますこのクライアントが好きになりました。翌年にこの専務が社長になった時に妙に私も喜んだのと、やはり人間的に素晴らしい方が上に行くんだなあ、と妙に納得した出来事でした。

こちらの会社は、今も当社の大切なクライアントです。CRCの時にお仕事をいただいてからもう15年以上も経っているのに、まだお取引が続いていることを大変ありがたく思っています。当社のクライアントは800社ほどありますが、その1社、1社に色々なお取引の経緯があり、関係者が一生懸命に仕事をやることでやtっと築いた信頼であることは覚えておいて下さい。信頼を築くのは本当に大変ですが、壊すのはあっけないほど簡単です。社員の皆さんには、そのことを心に留めて仕事に取組んでほしいと思います。

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