生成AI内製化への対応
4.所感
(以下は筆者個人の見解であり、JMRAを代表するものではありません)
さて、業界統計データから直接言えることは限られるのですが、楽観を許さない状況であることから、分析担当者として少々踏み込んだ感想を記しておきたいと思います。主に、調査プロジェクトの発注者(クライアント)側から見えるであろう景況感の予測に基づきます。
① 国際情勢の悪化や円安・物価高による影響
2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻、2023年10月のハマスとイスラエルとの紛争勃発が国際経済に及ぼした影響が甚大であることは言うまでもありません。また2024年11月の米国大統領選挙の結果がどうなるかなど、先行き不透明感が世界を覆っています。日本経済も円安・物価高の制約が重く、クライアントの投資意欲減退(調査予算削減)につながっている可能性が大きいと考えられます。国際情勢については個々の企業レベルではどうしようもありませんが、厳しい環境下でも可能な提案を積極的に行なっていく必要があると思われます。
② 生成AI・(顧客内)内製化への対応
2023年11月以降にChatGPT旋風が吹き荒れ、今日に至る生成AIや、AIを活用した調査ツールの飛躍的進歩には目を見はるばかりです。ESOMARがコロナ禍以降に実施した3回のクライアント調査結果から、2023年4月時点でのクライアント社内の調査プロジェクト内製化率はグローバルで48%となっており、進捗が遅れていると見られていた日本でも44%に達していました。その後、比較的簡単なデスクリサーチやデータの収集・整理などは、生成AI活用を含む内製化に取って代わられている可能性が高いと思われます。
調査会社としては、生成AIでは不可能な価値の提供(生身のインタビュー等)や、クライアント以上に生成AIを使いこなす仕組みや分析機能の提供などを通じて対抗していく必要があると思われます。また、クライアント社内で一定の内製化が進んだ後に、それをより効率的に運用しつつ、連続的なインサイト発掘に貢献する道などもあるかも知れません。そのような場合にも、生成AI対応は必須となるはずです。
(出所)JMRA 「第47回経営業務実態調査」
https://www.jmra-net.or.jp/activities/trend/investigation/20240723.html
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こちらは「第47回 経営業務実態調査」の結果を踏まえてJMRAの一ノ瀬さんが書いた所感です。
一ノ瀬さんはインテージの元取締役で私は何度もお会いして話をしたり、食事もして良く知っている業界の方です。
40年近くもリサーチ業界で勤務されていた経験から、上記の様な意見とも警告とも言える所感を述べたのだと思います。
マーケティングリサーチの役割の一部が、生成AIに置き換わることは間違いありません。
その時に生成AIでは出来ない価値を生み出せるかどうか、専門性と技術力を持った人間だからこそ出来る設計力や分析力、考察と提案力が作れるかどうかにリサーチ会社の将来がかかっている。
そんな彼の意見に私も全く同感です。
データの回収と集計のサーベイでは、リサーチ会社の経営が厳しくなることは目に見えています。
それだけに当社はConsultancy & StorryTeller と言われる「コンサル型リサーチ」ができるように、しっかり専門性と技術力の向上に努めることが肝心です。
当社の現在の企画提案力や、調査票設計力、レポーティングと考察提案力ではまだまだ足りません。
皆さんの主体的な技術の学習と、お客様の意思決定に寄与できるしっかりとした品質のリサーチサービスの提供に期待しています。
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